患者さんへ

消化器内視鏡センター

内視鏡センター長
西林 宏之

当院の消化器内視鏡センターは、苦しくない内視鏡検査と高度な内視鏡治療(低侵襲医療を行うことを目的とし、2009年10月に開設されました。

苦痛の少ない内視鏡検査としては、細径の経鼻内視鏡を用いた検査や、鎮静剤を用いた検査、また、検査時におなかが強く張る防ぐために炭酸ガスをもちいた送気装置をもちいて、検査を行っております。ご希望の方には同日に鎮静剤を用いて胃カメラと大腸内視鏡検査を行うことも可能です。鎮静剤を使用した場合は、検査後は、1時間程度ソファーで休憩していただいた後、帰宅していただいています。

内視鏡治療においては、事前に希望されておられる場合は安全に治療可能な大腸ポリープは検査時に切除することも可能です。また、早期胃癌・早期大腸癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を内科・外科の協力体制のもとに施行しております。また、総胆管結石症や閉塞性黄疸などの胆膵疾患患者の方に対しては、胆膵内視鏡による診断と治療を行い患者さまの体に負担の少ない医療を提供しています。また、超音波内視鏡観察装置をもちいた特殊検査を行って正確な診断をつけたり、穿刺ドレナージなど先進的な治療をおこなっております。

安全に治療を行うことを重視しており、現在、当院は内視鏡センターのこれまでの実績により、消化器内視鏡指導施設に認定されております。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

 当院内視鏡センターでは、「鼻からの内視鏡検査(経鼻内視鏡検査)」、「口からの内視鏡検査(経口内視鏡検査)」どちらでも患者さまのご希望に応じて行っております。

経鼻内視鏡:まれに内視鏡挿入時、鼻の痛みを訴える患者さまがおられますが、経口内視鏡検査と比べ「おえっ」という反射が少なく、テレビ画面に映るご自身の胃の中を医師と会話をしながら見ていただける利点があります。経口内視鏡と比較し内視鏡が細いため、検査を楽に受けていただけます。

経口内視鏡:経鼻内視鏡検査と比較しスコープが太いため、咽頭反射が強い患者様は苦痛を伴う場合があります。当院では、前回内視鏡検査がつらかった患者様、検査に対する不安が強い患者様には、患者様の希望があれば鎮静剤を使用して検査を行います。鎮静剤を用いれば、検査中はうっすらとしか記憶がなく、苦痛が少ない検査を受けていただくことができます。

経口内視鏡検査には経鼻内視鏡にはない利点があります。経口内視鏡では、拡大機能(病変を拡大して観察する)と特殊光検査機能(NBI)があり、良性・悪性の鑑別、また、悪性が疑われる場合、内視鏡治療可能な早期癌かどうかの診断が可能です。

内視鏡検査時には必要に応じて胃に慢性的な炎症を起こして潰瘍や癌の原因となることの知られるヘリコバクターピロリ菌の検査を随時行っております。ピロリ菌の検査は短時間で行うことが可能です。感染が確認された場合には当院ではヘリコバクター治療専門医が診療を行っております。

下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡)

大腸癌は決してまれな疾患ではありません。次の症状がある方は、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。

  1. 便に血液がついたり、混じったりしている。
  2. よく便秘や下痢になる。
  3. 便が細くなってきた。
  4. 何となくお腹が張ったり、下腹部が痛い。
  5. お腹にしこりがある。
  6. 排便をしてもまだ残っている感じがする。
  7. 原因のわからない貧血がある。

このような症状があり、検査が必要と感じていても大腸内視鏡検査を受けることに抵抗があると感じられるかたが多いかもしれません。

大腸内視鏡検査は苦痛を伴う検査と考えられがちですが、当内視鏡センターでは鎮静剤を使用し、楽に大腸内視鏡検査が受けられます。また、二酸化炭素送気装置を用いていますので検査後のお腹の張りも少なく、好評です。診断に関しても拡大内視鏡機能と特殊光検査(NBI)の併用により、内視鏡で治療が可能な早期大腸癌であるかどうかを正確に診断することができます。内視鏡治療が可能な病変に対しては侵襲の少ない大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で治療を行います。

 

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

最近では、内視鏡の進歩により早期のうちに消化管のがんが見つかることが多くなってきました。「がん=外科的手術」のイメージがありますが、早期癌に対しては内視鏡を使って、お腹を切らない治療方法が用いられるようになってきています。この内視鏡を使った早期癌に対する治療方法を内視鏡的粘膜下層剥離術(ESDと言います。

消化器内視鏡センターでは、内科医・外科医内視鏡技師・看護師がチームを組み、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESDを行っています。ESD対象症例は、週1回開かれる内科医と外科医が集まる内視鏡カンファレンスで症例検討が行われ、治療方針が決定されます。

治療の対象は早期癌ですので、早期発見が重要となります。そして、早期発見のためにも上部消化管・下部消化管内視鏡検査を受けていただくことが大切です。

胆膵内視鏡(ERCP)

胆道系(肝管・総胆管・胆嚢)と膵臓の診断と内視鏡的治療を行います。内視鏡治療の対象は、閉塞性黄疸・総胆管結石症・胆石膵炎・化膿性胆管炎等があります。処置を受ける患者さまのイメージとしては「麻酔をかけてレントゲン室で内視鏡治療を受ける」という雰囲気になります。実際は、十二指腸にまで専用の内視鏡を挿入し、内視鏡越しに色々な処置具を胆管や膵管に挿入し、検査・処置を行います。主に次に上げる内視鏡検査・処置を行います。

  1. 胆道系・膵臓の造影検査(ERCP)
  2. 超音波の器械を胆道・膵管へ挿入しての診断(IDUS)
  3. 胆汁・膵液を採取しての診断や胆道・膵管の組織をとる生体検査
  4. 胆汁・膵液の出口(十二指腸乳頭部)の切開・拡張(EST・EPBD)
  5. 総胆管結石の摘出(EML)
  6. 胆管狭窄に対する胆道ドレナージ(ERBD・ENBD・EMS)

また、消化器内視鏡センターでは、従来は「不可能」とされてきたR-Y術後胃患者さまに対して、小腸内視鏡を使用して胆膵内視鏡(ERCP)を行っています。

術後胃のERCP

超音波内視鏡検査(EUS・EUS-FNA)

胃カメラ先端に超音波が搭載された内視鏡を使用して、胃や十二指腸壁より膵臓や胆道系のエコー診断や同時に針生検を行います。CTやMRIなどの画像診断では分からなかった、病変の確定診断を行うことができます。鎮静剤を使用しての苦痛のない検査を行っています。

小腸内視鏡検査

消化器内視鏡センターではシングルバルーン小腸内視鏡を導入しています。従来の内視鏡では挿入が不可能であった小腸の内視鏡検査・治療が可能となりました。

内視鏡の感染管理について

昭和50年前後、内視鏡による感染事故が話題となった時代がありました。消化器内視鏡センターでは、ガイドラインに沿って、内視鏡はすべて毎検査ごとに自動洗浄消毒機を使用し、高水準消毒を行っています。内視鏡検査に使用する処置具も、使い捨てのものを使用しています。

「どの患者さまに使用したカメラを誰がどの洗浄消毒機で洗浄消毒したのか」という洗浄消毒の履歴管理も行い、徹底した感染予防に努めております。ご安心して内視鏡検査・処置をお受けください。